伝統漢方専門老舗


                   
         
 
 
 
   
令和六年の年頭にあたつて

 昨年は私が長きにわたり危惧した事が現実になり数社の生薬製造会社が廃業また日本独自の数百年にわたり継承の伝統薬も人知れず消滅していきました。その会社の独自の製品で残念な事です。
復活はできません。

 当社が製薬メーカーであった事はほとんどの顧客様はご存じないですが、昭和51年の第一時 GMP、医薬品製造実践基準の実施にともない、生薬の原料刻み加工専門業者の廃業、各種家伝薬の廃業が続き、ほとんどの日本の家伝薬は消滅していきました。

医療用医薬品の海外への輸出のため国内の製造基準の高度標準化で WHO の勧告、批准の受理で急務の件でした。

 今、振り返れば 人命にかかわる医薬品の特性から語れば、幾ら基準を厳しくしても妥当なのですが、当時の生薬業界は、比較すると和菓子の製造と同じ状況で、生菓子の練りきりを作るのに細菌感染予防で滅菌手袋と減圧室、完全滅菌空調を整備、照明の高度化、保管場所の高度温度湿度管理、製造検食の保管指定、製造現場の細菌検査、廃棄方法記録、廃棄数の確認、各責任者の任務記録保存など零細な和菓子商店に出来ない事を要求適応するのと同様な時代でした。

 生薬製剤は長年の経験と知識で製造方法も各地方独自のものもあり、行政の基準でも製造工程の助言指導の判断しかねるものもあります。
私も一昔前ですが、業態は相違しますが、大阪府の衛生部で監視業務を経験していますが難しいものです。

 近年新たなGMP基準の設定や、旧い製造機械や製造方法の見直しなど、監視基準の更新や、また監視員の新旧交代で現場監視手順の継承認識の戸惑いなどで、生薬原料製造会社から医薬品製造会社まで多くの会社が、製造方法の近代化工程の透明標準化勧告助言指導、製品の品質不安定勧告助言などで数社は廃業されました。

 話は変わりますが戦後は米軍のサームズ准将のお陰で救われました。
医療技術の西欧化で、敗戦後生薬製剤は全て廃止方向だったのですが、戦後の建林松鶴堂の朝鮮戦争時の国連軍将兵の健康維持にGHQにたいする貢献で遺された分野で、同社には後世に国民資産として日本民族の英知の賜物という書状までいただいておられます。
       

中国の方も尊敬されている製剤群なので、戦国時代の処方と効能効果が令和の時代にも役立ち, 多くの方に福音をもたらし感謝されています。

 私自身も継承保存に関与していますし、歴代の行政の方々も多大な保存に助言指導をいただき感謝しています。当家を幾度も訪問の中国の医薬専門団の方々も、かって中国に存在して今は消滅した唐時代の生薬処方が日本に遺っているので何度も、お褒めのお言葉賜りました。

行政当局の温かいお言葉と助言指導で次世代へとの継承を期待しています。
行政とも寄り添って、日本伝統遺産ですので、次世代へ継承したく,, 今年は皆様にも御助けいただく年となります。

関東地方の代理店の旧い薬舗の廃業は、後継者不足でなく製薬会社の廃業で、その専門代理権商品しか扱かっておられないので商品が納入不能の事態になられ廃業されました。
小売業まで危機が波及してきています。

 昨年は顧客様や知己の有識者の御心配でTV放送やMEETS 雑誌に紹介され有り難く感謝しています。時々御来店賜り、現状認識と知識更新をしてください。
小生も齢が重ねました、末長く家族ともども宜しくお願いいたします。

新年号のMEETSは関西地方限定で、お近くの書店やセブンイレブンで発売されていますので当店の近況拝読ください。

追記 
 今年の肝要は 「補腎」・「活血」・「解毒」の知識の汎用が健康寿命の延伸の基盤と確信しています 。
「補腎」の語句は将来に「広辞苑」に収載される文言と予測しています。
「解毒」は特に中国の歴代皇帝が気にかけられ北宋の徽宗皇帝が紫禁城の歴代の数百年にわたり貯蔵の毒薬倉庫を数ヶ月掛けて燃やした史実もあり、日常食の解毒の知識は書物に遺在しています。

 体内蓄積の解毒が大切で、大阪万博の1970年代に有吉佐和子の複合汚染の論雑誌の時代に現在は遡り、多くの食品添加物や養殖の餌の不明な原料、水質汚損など解毒食品の適宜服食が肝要の時代になりました。

 新しい漢方が生まれ、また滅びゆく漢方もあり、新しい知識が必要になっています。
 ご自身の知識の更新に、ぜひお越しください。お待ちしております。

                            片桐棲龍堂
                                片桐平智

    令和六年新春